KCNQ2について
KCNQ2についてのFAQs
KCNQ2とは私たちのDNAの中で20番目に位置する遺伝子です。正常にこの遺伝子が機能している時は、私たちの脳の各細胞のカリウムチャネルを制御します。この場所は体にある臓器全体にとってとても重要なところであるために、安全に分離されています。遺伝子突然変異と言われる非常に稀な「変化」があります。この突然変異はドイツ国内の10人から15人の子供たちに起きています。初めてKCNQ2の遺伝子突然変異だと一人の子供に診断が下ったのが2011年のことです。遺伝子の変異は大まかに遺伝によるものか遺伝によるものでないか(新たに発生したもの)に分けられます。もしも遺伝子異常が遺伝的なものである場合、軽度の身体障害の影響が認められます。この障害程度は遺伝的であることが原因であることよりも、新たに遺伝子の異常が認められた子供たちに対してより深刻に進行していることが分かりました。他に大まかに分けられる区分としてはカリウムチャネルの形の変化によるものと思われます。肥大(ごく稀な機能獲得)もしくは縮小(より頻繁にある機能消失)が見られると言われています。残念ながら、KCNQ2遺伝子の変異はことの外多くの箇所で見受けられます。そのため、全ての把握できている事象を検証したところでも、他の遺伝子異常を比べる方法を発展させるまでには至っておらず、更に診断結果が出た変異について結論を導き出す段階までに至っていないのです。
診断は神経小児科医によって慎重に既往歴と脳波図に基づいて行われます。多くの場合、てんかんの発作は生後数時間で始まり脳波図は異常値を示します。診断結果を示すまでには多くの早くて一般的でシンプルな方法があり、それらが最初に用いられます。専門医が患者の症状に基づいて、検査項目を決定します。MRI、CT、尿検査、脳脊髄液検査、血液検査などの方法が良く用いられます。もし検査結果が思わしくないものであれば、残念ながら診断を排除できるため、それより先に進むことは期待できません。遺伝子検査はとても時間がかかり、その行為はまるで有名な言い回しである「干し草の山の中に落ちた1本の針を見つける(見つかる望みのないものを見つける)」ようなものです。この治療を担当する医師は関連した遺伝子検査を依頼する前段階でKCNQ2の臨床像をすでに理解している必要があります。根拠のある診断は遺伝子検査によってのみ判断することが出来ます。
現在考えられる主要な医療学的チャレンジというのは、けいれんをコントロールできたり病気の進行を防げる薬を発見したり発展させることです。なぜ患者が正しい薬で治療することによってけいれんが起こるのかを知ることはとても大切です。KCNQ2というのは皆さんすでにご存じのようにカリウムチャネルがとても大きいかとても小さいかといったことを意味します。もしカリウムチャネルがとても小さい場合、薬の作用というのはチャネルを拡張させるために投与されます。残念ながら、そのような薬はまだ市場で入手することはできません(2018年3月現在)。しかしながら、薬はすでに試験投与が行われており、現在は効果持続期間のチェックと承認される前段階のテストが行われています。現時点では、カリウムチャネルを開くという作用があるため、ナトリウムチャネルを通してイオン伝達を促進するナトリウムチャネルオープナー(Sodium channel openers)と呼ばれる薬を使用しています。この遠回りなやり方というのはカリウムチャネルを通して自然な流れとなるように実施しています。一方でカリウムチャネルが肥大している事例での臨床像に関する情報は現在ありません。ここまでが治療方法と薬に関する部分です。治療に関することに加えて、このごく稀な遺伝子の病気の全ての症状は様々な治療方法で治療されていますが、そのいくつかはとても高額です。まもなくより治療方法が増える予定です。
ここがおそらく最もKCNQ2の不透明な部分だと思われます。この病気の存在が分かってから7年ほどしか経過しておらず、研究者、遺伝学者、専門家たちは未だに診断と治療に関する共通の考えが共有できていないので、何も起こりえません。片や家族が何を期待すれば良いかが分からないというのは利点です(例えば、成人期に子供の看病をする時)。しかしながら一方では、とても難しい問題でもあります。家族全員にとってはどのようにこの状況と向き合えばいいのか、そしてどのような結末が待っているのか、先行きが見えない誰も知らないような見知らぬ土地を歩いているような感覚になるのです。